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オートバイの旅(51)Pakistan-1978/12/13  [日誌]

オートバイの旅(玉井洋造の旅1976) 日誌

(51)Pakistan-1978/12/13

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1978/12/13        散髪屋
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 パキスタン中央部にあるムルタンは大きな町だった。ロバや馬や牛の荷車とオート三輪のタクシーなどがごちゃごちゃ走り回り、忙しそうだ。銀行へ行くと、やはりミルクティーを出してくれた。そこで20ドルだけ両替する。
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 相変わらずバイクのクラッチ板の切れが悪いので、、ヤマハの作業場を借りて点検をする。店のメカニックが手伝ってやろうかといってくれたが、自分のバイクのコンディションを完全に知っておきたいので断る。クラッチの異常はやはりオイルの粘度が高すぎるようだった。カラチのメカニックが4輪用のギアオイルを入れたのかもしれない。普通のモービルオイルに入れ替えると、スムースに切れるようになった。
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 3時過ぎに整備が終わり、この日は若いメカニックの家に泊まることになった。シャワーを浴びたいかと聞かれ、散髪屋へ連れていかれた。そこにシャワー室があるのだ。ついでに髪も切ったらどうだと勧められて、少し心配だったがやってもらった。
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 相手はパキスタンの理髪師だ。不吉な予感がしたが、安の条、見事なおかっぱ頭にされてしまった。髭剃りもすごい。力を入れてするので、顔が切れてしまうのではないかとハラハラした。散髪屋の男はおかっぱ頭にしようとして櫛を入れる。こんなふうに横分けしてほしいと手で分けて見せたら、相手は怒ってしまい、もう終わりだという。ひげを剃っている最中でなくてよかった。どちらが客かわからないが、気分は朝風呂に入った気分で、すがすがしかった。 
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1978/12/17           ヤマハRD350
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 ペシャワール周辺はレンガ工場が多かった。古タイヤを燃料としているので、空は雨でも降っているのかと思うほど、どんよりとしていた。
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 街中は、ごちゃごちゃと物が散らばり、ロバ、馬、牛がノロノロと行き来するが、これらの動物はよく働いている。山ほどのレンガを積んだ荷車を引っ張ている。こき使いすぎなのか、牛が私の目の前でひっくり返り、のびてしまった。飼い主が立たせようと、首輪を引っ張ても、もう動かない。ラクダも多く使われているが、くたばりやすいのか、その死体があちこちの道路端に転がり、鳥が肉をついばんでいる。
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 町の出口でポリスに停められた。例によってミルクティーでもどうだと誘う。毎度のことなので、喜んでいただく。
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 そのポリスのバイクは、ヤマハRD350だった。パワーがなくて修理するにもパーツがないという。よく見るとエアクリーナがない。それじゃこの砂ほこりの多い町では、シリンダーは傷だらけだろう。それにシリンダーヘッドからはオイルが流れている。ボルトが緩んでいるのだろうと、少し修理をしてやることにした。
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 どこで修理したのかと聞くと、町の小さな修理屋だという。ひどいものだ。スパークプラグも変なものが付いており、左シリンダーヘッドのネジ穴はつぶれてしまっている。オイルポンプ、点火時期の調整をした。ミッションには4輪車用のギアオイルが入っており、切れが悪い。パキスタンの車は、ほとんどが半分のパワーで走っているのかもしれない。恐るべきメカニックだ。
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 バイクをいじり始めると、時間を忘れてしまう.こんなガラクタのバイクと付き合っていたら1日ぐらいすぐにつぶれてしまう。リードバルブも狂っているだろうし、シリンダーの排気ポートもカーボンでいっぱいだろう。キャブのフロートレベルも調整が必要だろう。それよりもエアクリーナがないから砂を一杯吸い込んで、シリンダーはもう傷だらけだろう。
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 ポリスは、私がバイクの整備をしている間、たえずミルクティーを運んで来たり、タバコに火つけて私に差し出したり、今夜は俺に家に泊まれと非常に気の使いようだ。

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